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2006年、商務部の外商投資企業苦情処理暫定弁法[商务部外商投资企业投诉工作暂定办法](苦情処理暫定弁法)が公布された。これは、2020年8月25日に公布された、外商投資企業苦情処理弁法[外商投资企业投诉工作办法](商务部令2020年第3号)の前身と言える。両者の比較は8.6で行う。
苦情処理暫定弁法の公布と前後して、多くの省、自治区、中央政府直下の地方自治体に、現地の外国投資の苦情処理のためのさまざまな受付機関が設立された。一部の地域では、外国投資企業の苦情処理に関する具体的な実施規則および措置が発せられた。たとえば、浙江省の外商投資苦情処理センターの苦情処理規則(試用版)[浙江省外商投资投诉中心投诉规则(试行)](2005)、河北省の外国投資苦情処理弁法[河北省外商投诉处理办法](2008)、広東省の外商投資企業苦情処理サービス弁法[广东省外商投资企业投诉处理服务办法](2014)などである。
中国への外商投資に関する行政機関への苦情と和解に対処することを目的としたプラットフォームには、主に次の3つのタイプがあった。
外国苦情センター(そのほとんどは地元の投資促進局と協力);
外商投資企業協会(外商投資企業の任意の社会組織); そして
台湾苦情調整単位(台湾企業が「苦情の扉を有すること」の問題をよりよく解決するために地方自治体の台湾事務局に設置されていた)。
これらのプラットフォームの苦情処理のメカニズムは、中国への外商投資のソフト環境をある程度改善したが、外国投資家と外商投資企業の行政紛争を調整して処理することには、依然としていくつかの問題が存在していた。
・ 苦情処理機関の位置付けが分散し、不明瞭であった:
それらのプラットフォームは連携/調整に欠けており、それぞれの機能は重複して分散されていたため、リソースの浪費を引き起こしただけでなく、お互いの諍いと効率の低下という厄介な状況に陥っていた。
特に外国苦情センターは、ほとんどが地方の投資促進行政と連携しているため、明らかに行政機関寄りで、外商投資企業と行政機関の間の紛争の受付や解決について公平性を疑わざるを得なかった。
・ 処理される紛争の範囲が広すぎる:
かなりの数の「外国苦情センター」(特に中国の開放の初期に設立されたいくつかの苦情センター)は、外商投資企業と行政機関の間の紛争を受け入れるだけでなく、外国人投資家/外商投資企業と中国の他の企業、組織または個人との間あらゆる種類の紛争を受け入れるように、業務範囲が広がっていた。
外商投資企業協会は、関連する政府部門に対する会員からの苦情を受け入れるだけでなく、メンバーの外商投資企業間のさまざまなビジネス紛争をも処理していた。
・ 苦情を処理する方法の不適切さ:
苦情処理機関が実際に担っていた機能は、提案と苦情の受付の双方である。通常、直接紛争を解決したり、紛争を調査したりして対処する権限はなかった。それでは、外国投資家や外商投資企業の苦情を効果的に解決できるかどうかは疑わしい。また、このような苦情処理では、実際の問題が解決されることもない。現に、苦情処理機関は外商投資企業の苦情をさまざまな部門に盥回しにし、多くの紛争が迅速かつ最終的に解決されることもなかった。
・ 一貫性を欠く苦情処理原則:
省および地方自治体によって規定された苦情処理の原則は一貫していなかった。省は公正、正義、合法性を強調し、地方政府は紛争解決の効率性にも注意を払うべきだとして、適時性と効率性を強調する。公平性、正義、合法性、効率性はすべて重要であり、それらすべてが苦情処理の基本原則である必要があろう[1]。
[1] 徐芳,《论我国新型外国投资投诉协调处理机制的构建》 2 河北法学 45 (2016) 参照