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3.4.3でみた(c)’会社の設立と変更の厳格な手続は、5.6でみたように改革されたが、さらに簡素化された。
政府が審査承認する投資プロジェクト目録(2016)[政府核准的投资项目目录(2016年本)]の十一項は以下のように規定する:
「外商投資産業指導目録」の総投資(増資を含む)が3億ドル以上の制限類プロジェクトは、国務院投資主管部門が審査・承認し、その中の総投資(増資を含む)が20億ドル以上のプロジェクトは国務院に届出を行う。「外商投資産業指導目録」の総投資(増資を含む)が3億ドル以下の制限類プロジェクトで、省級政府が審査・承認する。
前項の規定以外の本目録第一条から第十条[1]に列記するプロジェクトに属する場合には、本目録第一条から第十条の規定に従い執行する。
外商投資プロジェクト審査承認および届出管理弁法[企业投资项目核准和备案管理办法](2017)第4条によれば、審査承認管理の対象となるプロジェクト以外のプロジェクトは届出管理の対象となる。
これら一連の審査・承認権限の委譲の後も、内資企業と外商投資企業の設立と変更の間にはまだ違いがある。しかし、「書類一式、手続一つ」のシステムが導入されて、手続が簡略化された。
会社法の制定により、中国国内のほとんどの有限責任会社の手続は、審査・承認システムから届出システムに移行した。内資企業の設立の場合、一般に、国家工商行政管理総局またはその省および地方自治体の工商部門に登記申請すれば会社を設立することができ、特別な届出や認可取得は不要である(会社法第6条第1項)(ただし、銀行等の特殊な業種の会社を除く)。
これに対し、外商投資企業の場合、(a)特別管理措置*の対象事業を営まない一般の企業については、手続が簡略化され、必要な情報は工商部門へオンラインで届出ることができるようになり、そのうえで商務部門に転送され共有されるようになった(「一式の書類、一つの手続」)(外商投資企業設立および変更届出管理暫定弁法[外商投资企业设立及变更备案管理暂行办法](外商投資法実施条例の施行により失効)第6条)が、(b)特別管理措置*の対象事業を営む企業については、発展改革部門への外商投資プロジェクト届出(または外商投資プロジェクト許可)および商務部門の認可が必要とされた(同第10条)。
*ここで「特別管理措置の対象事業」とは、「外商投資産業指導目録」における制限類の業種、禁止類の業種、および奨励類のうち持分または高級管理人員に関する要件の付されている業種に該当する事業を指す[2]。
また、会社の変更について、内資企業の場合は工商部門での登記または工商部門への届出のみで足りるが、外商投資企業の場合、(a)特別管理措置の対象事業を営む企業については、経営範囲の変更、増資、減資、持分譲渡、合併、会社分割、解散、清算等につき、手続が簡略化され、必要な情報は工商部門へオンラインで届出ることができるようになり、そのうえで商務部門に転送され共有されるようになった(「一式の書類、一つの手続」)(外商投資企業設立および変更届出管理暫定弁法(外商投資法実施条例の施行により失効)第6条)が、(b)特別管理措置の対象事業を営む企業については、そのような変更につき、なお商務部門の認可が必要とされた(同第10条)。
これらの改革により、外商投資企業についての外商投資の承認(商務部門が担当)と設立承認(工商部門が担当)」の「一式の書類、一つの手続」のシステムが2018年から全国的に実施され、外商投資の承認は基本的に設立承認プロセスに統合された。分野ごとにばらばらだった多くの企業コードがまとめられ、1つの企業登記/登録手続で、税金、外国為替、その他の登録事項を同時に処理できるようになった。
[1] 農業(再生)および水利、エネルギー、輸送、情報産業(通信)、原材料、機械製造(自動車)、軽工業(タバコ)、高度で新しい技術(民間航空および宇宙飛行)、都市建設、社会事業( テーマパーク、観光)。 これらは基本的に審査・承認管理の対象である。
[2] [国家发展和改革委员会、商务部公告2016年第22号―关于将不涉及国家规定实施准入特别管理措施的外商投资企业设立及变更,由审批改为备案管理的公告]